MENU
PCサイトを表示
シェアブックス スタッフが送るたわいもない日記
  • 2022.04.01 曇り

    Invent & Wander - ジェフ・ベゾス

Invent & Wander - ジェフ・ベゾスを読んだ。

ジェフベゾスは皆さんご存じ、Amazonの創業者で世界一の大富豪だ。
今までもベゾスの本は何冊か読んできたが、去年末に出た一番最新の本の感想を。

まずはざっとジェフベゾスの経歴を。
1964年にニューメキシコ州で生まれたベゾスは、小学校の頃から科学や工学に興味を持ち、弟が勝手に部屋に入らないよう、電動の警報機を独自で作り上げたりしていた。
高校時代はマクドナルドでバイトをしていたが、ただバイトをしていたのではなく、自動調理システムの研究や分析を行っていたという。
1982年に卒業生総代を務め、優秀な生徒に贈られる、ナショナル・メリット・スカラーシップとシルバー・ナイト賞を獲得している。
大学は超名門のプリンストン大学に入り、電気工学と計算機科学で学位を取得した。
最初は物理学者になる事を目指していたが、自分が解けなかった量子力学の偏微分方程式の難問題を、優秀なクラスメイトがあっさりと暗算で解いた時に、自分は向いてないと目指していた道をすぱっと諦め、直ちに電気工学とコンピュータサイエンスに専攻を変えたという。
その後、アメリカの大学生最大の栄誉となる賞等を総なめにしたベゾスは、映画の主人公のようなエリート街道を送っている。
1986年に大学を卒業し、インテル等の複数の超大手企業からスカウトされるも全ての誘いを断り、金融業界に身を投じる。
1990年にヘッジファンドに転職してからは、僅か2年で副社長まで上り詰めたが、その頃急速に普及しつつあるインターネットに、物販での可能性を確信し、1993年の後半にオンライン書店を始め、1994年1月に自宅のガレージでAmazonを起業した。

part1はベゾスが株主宛に毎年送った手紙が掲載されている。
ベゾスには創業時から一貫して変わらない信念があり、頭の中が明快に整理されていて読んでいて本当に優秀な人物だなーと感じた。
1997年に株主に宛てた【長期がすべて】は、なるほど勉強になると思ったし、その後の手紙の内容も先見の明が凄すぎて恐怖すら覚えた。
重大な意思決定を行う時は、頭ではなく心に従って決定を行い、80歳になった時に振り返って後悔の数が少ないと思う方を選ぶのがベゾス流らしい。

ビジネスに関しては、変わるものではなく、10年後でも変わらないものを軸として考えるという発想も凄いなと思った。
僕自身もそうだが、大抵の人は未来を意識し数年後にどうなっているかを予測して物事を考えていると思う。
だがベゾスは「10年経っても変わらないものの方に僕は興味がある」と言い切る。
Amazonのビジネスを例にすると、価格・スピード・品揃え・信頼は何年経っても顧客が求めているものは変わるはずがないから、そこを根幹にビジネスを展開していって成功を収めている。

この本を読んで1番感じたことは、ベゾスが超絶頭がいいのは勿論のことで、とにかく長期思考というのがもの凄くよく分かった。
投資をしている人には分かると思うが、短期投資で利益を上げている人はどのくらいいるだろうか?
個人的には投資の世界でも長期投資に勝るものはないと思っている。         

今回この本の中で一番面白いと思ったのは、part2にある【宇宙を目指す目的】という宇宙に関しての章だった。
ベゾスは2000年にブルーオリジンという航空宇宙企業を設立している。
高校生の頃に「地球は有限だから、世界経済と人口が拡大し続けるには、宇宙に行くしかない」と綴ったらしく、その考えは今でも変わらないという。
太陽系で最高の惑星が地球なのは明白で、火星や金星等の他の惑星とは比べようもなく、宇宙に行くのはこの地球を守るのが目的だという。
地球は様々な問題を抱えているが、中でもエネルギーの問題は最重要課題である。
文明が反映すればする程、そのうち地球からエネルギーが枯渇するということが、きわめて根本的な長期課題だという。
いつかは必ず枯渇するエネルギー問題は単純な算数らしく、人類は莫大なエネルギーを日々使用している為、グローバルなエネルギー使用量は毎年3%伸びていて、人間のエネルギー消費量は25年ごとに倍になる。
文明が停滞してはいけないが、このままでは地球の結果は目に見えている。
ではどうすればいいのかというと、ひとつは言うまでもなくエネルギー効率を上げること。
しかし人類は常にエネルギー効率の問題に取り組み続けてきており、例えば蝋燭が灯油ランプになり、白熱灯からLEDへと変わってエネルギー効率を大幅に上昇させてきた。
飛行機は50年前では一人の乗客がアメリカを横断するのに109ガロンの燃料がかかったが、今では最新機だと24ガロンしかかからない。
コンピューターは15件の計算を処理するのにかかってたエネルギーは1キロワット秒だったが、最新のプロセッサなら同じエネルギーで17兆回の計算を処理出来るようになった。
さて、上記のように効率が大幅に上昇した結果、どうなっただろうか?
生活は便利になり格段に快適になったが、人間はさらなるエネルギーを消費するようになった。
そう、いくらエネルギー効率を上げても、人間はもっと多くのエネルギーを使い続ける皮肉な生き物なのだ。

資源は有限なので、需要がさらに高まれば配給制にするしかなくなり、今のままではその方向に向かうほかなく、孫の代では歴史上で初めて生活の質が低下してしまう恐れがある。
だが地球を出れば太陽系には実際に使える資源が豊富に存在していて、人々は選択する事が出来る。
「停滞と配給」か、それとも「活気と成長」かだが、人類が何を望むかは明白だ。
では人が太陽系に進出するにあたって最適な場所は惑星の表面かというと、答えはノーらしい。
いろんなSF映画を見渡しても、人類が宇宙へ移住するといったら、どこかの惑星へ移住するというのが、誰しもが思い浮かべる事だろう。
だがこの本に書いてあるのは、惑星への移住は距離や重力の問題で現実的ではなく、それよりも回転による遠心力を使って疑似重力を発生させる人工的なスペースコロニーが最適だという。
このコロニーは1基につき数百万人が居住出来る巨大建造物で、重力や気候を自在にコントロール出来て、想像を超越した快適な生活を送る事が出来る。
コロニーの内部には高速移動手段が備えられ、農業区域や都市等の様々なコロニーがあり、遊び専用のコロニーでは重力を0にして飛び回ることも可能だし、国立公園も作ることが出来る。
気候も思いのままで、雨、嵐、地震もなく、マウイ島のような最高の気候を自在に堪能する事が出来る。
雨風をしのぐ必要がなければ、建物の構造の概念も変わり、コロニーは美しいものになる事は確実だ。
しかも地球から近い場所に作れば、すぐに地球に戻る事も出来る。
人は必ず地球に戻りたいと思うはずだから、地球との往来が楽に出来るというのは重要な事。
地球は制限居住地区となり、地球に害をもたらす行為は全て地球外で行われるようになる。
そうすれば、この宝石のような奇跡の惑星を保護する事が出来ると、ベゾスは断言している。
では誰がこの仕事をやるのかというと、それはベゾスではなく現在学校に通っている子供達とその子供や孫が実現する事になる。
Amazonを創業した時は、既に先人たちが、物流・決済システム・通信網・コンピューター等のインフラを築いてくれていたので成功する事が出来たが、宇宙開発のインフラは今現在では整っていない。
次世代の起業家がコロニーを作れるように、インフラを整えておく事がベゾスを宇宙へと駆り立てる最大の要因だ。

もう一つ解決しないといけないのは、それらを実行するには宇宙にある資源を使う必要があり、それに持ってこいの天体が『月』らしい。
何故月が良いのかという理由はいくつかあるみたいだが、まず月には水という大変貴重な資源が氷として眠っている事。
もう一つは地球に近く、現在では3日で行けるという事。
アメリカは2024年までに宇宙飛行士を月に送り込むと、トランプ政権時代に公約で掲げている。
月の資源を利用して、宇宙開発インフラを整える足掛かりとしたいところだが、もちろん月にもインフラが必要でまずはそこからのようだ。
とてつもない規模の話だが、このAmazonの創業者は人類の子孫の為に、本気で宇宙開発のインフラを構築しようとしている。
なんという長期思考だろうか。ベゾスのこの思考を理解した時には「いやー凄い!まじで天才」と思わず声が出た。
ベゾスが何故宇宙を目指すのかが、この本を読んでよく分かったので面白かった。
この章の最後にはこう綴られている。

【私たちの孫や、さらにその孫の世代のために、活気ある未来を目指さなければなりません。停滞と配給の世界に子供たちを向かわせるわけにはいきません。
宇宙への道を切り開き、将来の世代がその創造性を羽ばたかせられるようにするのは、私たちの世代の仕事です。
それができて、未来の宇宙起業家のためのインフラが整えば、私が1994年にアマゾンを立ち上げたときのように、驚くべきことが起こります。それもすごいスピードで。それは確実です。
環境が整えば、人々は思い切り創造性を開花させることができます。私たちの世代が宇宙への道を開き、インフラを築けば、大勢の未来の起業家が本物の宇宙産業を創造するでしょう。
私は彼らをその気にさせたいのです。大きすぎる夢に聞こえるかもしれませんし、実際、これは大きな夢です。いずれも簡単ではありません。何もかも難しい事ですが、人々の心に火をつけたいのです。ぜひ考えてみてください。
大きなことも小さく始まる、ということを。】原文ママ

大金持ちが、また道楽で宇宙旅行に行ってるよと、浅はかな考えで生きていた自分をもの凄く反省しました。。

1
PCサイトを表示
電話 0120-316-314(フリーダイヤル)
電話受付:年中無休 [ 10:00 - 19:00 ]
通信中です...しばらくお待ち下さい