MENU
PCサイトを表示
シェアブックス スタッフが送るたわいもない日記
  • 2021.12.28 晴れ

    Winny 天才プログラマー金子勇との7年半

(注)ITやプログラムに興味が無い人は、今回の内容はつまらないと思うので見ない方がいいと思います。そして長いと思います。笑

【 Winny 天才プログラマー金子勇との7年半 】壇 俊光 (著)を読んだ。

今は亡き金子勇氏を知っている人はいるだろうか。
IT業界では知らない人はいないくらい有名な人物だが、金子勇という名前は知らなくても今から20年程前に流行したWinny(ウィニー)なら当時パソコンを触っていた人は知っていると思う。
Winnyとはファイル共有ソフトで、勿論当時の僕はWinnyのヘビーユーザーだった。

僕が自分で初めてパソコンを買ったのは今から約20年前の20代半ばの頃だった。
当時はパソコンを持っている人やインターネットを利用している人はかなり少なく、ネット回線もISDNやADSL等の貧弱な回線だった。
必ずしもパソコンが必要ではなかったその時代に、何故買おうと思ったかというと、その頃よくアジアを旅行していて、訪れた国のいろんな文化や先進的な外国の人々と触れ合う中で様々な情報を得ていったことにより、パソコンの必要性とインターネット上のマーケットに魅了されたからだ。
最初は本を買い漁って独学でプログラム等も勉強していたが、独学で勉強する難しさを痛感し、いつの間にかネット上を徘徊するただの住民に成り下がっていた。
そんな中、友人からWinMXというファイル交換ソフトを教えてもらい、映画・アニメ・スポーツ・アダルト等の様々な映像や音源をユーザーと交換する事によって無料でダウンロード出来るという、夢の様なソフトに夢中になった。
毎日パソコンをフル稼働させて、ファイルのアップロードとダウンロードを繰り返し行っていたが、ある日WinMXユーザーが著作権法違反の疑いで逮捕されたと報道があった。
その時に初めて自分は著作権に触れる違法な事をしているんだと気が付いた。
逮捕者が出た事をきっかけに少しWinMXからは遠ざかっていたが、そこに金子氏が開発したWinnyなる、より優れた後継ソフトが登場して、僕は当然ながら以前以上にそのソフトに夢中になった。
中央サーバが必要なWinMXに対し、Winnyはファイルの共有に中央サーバーを必要としないピュアP2P方式で動作する。(このP2P技術は現在ではブロックチェーン等で利用されている。)
WinMXはファイルをアップロードして交換する必要があるので著作権に引っかかるが、WinnyはP2Pという優れた技術を用いて、ファイルをダウンロードのみで共有した場合は著作権法には抵触しないという認識で僕は利用していた。
ただそんなある日、Winnyの開発者である金子氏が、著作権法違反幇助の罪で逮捕されることになった。

少し前置きが長くなったが、この本はそんなWinnyの開発者でプログラムを心から愛する天才金子に魅了された、著者の壇弁護士による回顧録。
ざっと時系列を書くと、金子氏は2003年に著作権法違反ほう助の容疑で捜索差押を受け、2005年に京都地方裁判所はほう助の成立を認めて罰金刑の有罪判決を下した。
これに対して、無罪を求める弁護側と懲役刑を求める検察の双方が控訴したが2009年に逆転無罪となり、検察はさらに最高裁に上告するも2011年に検察の上告が退けられ金子勇氏の無罪が確定した。
2012年に東京大学の特任講師に就任し研究や開発に従事していたが、2013年7月6日に急性心筋梗塞のため、42歳という若さで稀代の天才はこの世を後にした。

この本には犯罪とはかけ離れた純真無垢で情熱的にプログラムに取り組む金子氏の人柄が記録されている他、プログラムに対して豊富な知識を持つ弁護士が、何も理解していない無知な検察に突っ込みを入れながら軽快な文章で話は進んでいく。
プログラムに対して圧倒的に無知な京都府警と検察は強引に有罪に持ち込もうとするが、壇弁護士率いる弁護団が日本の未来である金子氏を冤罪で有罪にする訳にはいかないと奮起するノンフィクション作品。

長年に渡る裁判で無罪は確定したものの、7年半という貴重な時間が経過していた。
金子氏はWinnyというツールを開発しただけで、それを違法行為で利用した事もないし、その様な利用方法を促したわけでもない。
YouTubeでもテレビ・映画・スポーツ・音楽等の映像や音源が無断でアップロードされている動画をたまに見かけるが、それは著作権侵害にあたる違法行為である。
ただその違法行為は、YouTubeを利用しているユーザーが勝手にやっている事であり、それによってYouTubeの開発者が逮捕される事はないが、Winnyでは同様な事で開発者である金子氏が逮捕されたということである。
最初は軽快に読み進めていたが、途中で怒りと悲しみが混在した不安定な気持ちになり、とてつもなく切なくなってきた。
こんなに優秀な人物を虐げた京都府警は、金子勇というスペシャルな天才技術者の時間を無駄に浪費し、その世界の進歩を止めてしまったのは本当に罪深い。 
現在IT後進国と言われている日本だが、金子氏の存在で大きく変わっていた可能性があったのではないかと、この本を読んで強く思った。
一番脂の乗っている30代を無念にも自国の国家権力に無駄にされたのである。
彼はもう他界していて、大好きなプログラムを書く事が出来ない。
彼が裁判にかけられずに、思う存分その技術を研究して、さらにはまだ現存していたなら、WinnyやP2P技術の発展、さらには日本のネットワークがどう進化していたのかは誰も知る由は無い。

金子氏がイメージしていた世界はまだまだこんなものではなく、もっともの凄いソフトが生み出された可能性もあったのではないかと思っている。
P2P技術は現在ではブロックチェーン(分散型台帳)で利用されていると前途したが、ビットコインの生みの親でその論文がサトシ・ナカモトという名前で提出されている。
このサトシ・ナカモトという人物は、未だに誰かは分かっておらず仮想通貨界隈での最大の謎とされているが、金子勇氏ではないかと言う声も少なくはない。
あくまでも日本のネット界隈での推測の域を超えないが、もし本当にそうだったとしてもおかしくはないなと、この本を読んで思った。
金子氏は、当時難しいとされていた大規模なP2Pネットワークの運用をWinnyによって可能にしており、その技術は現在仮想通貨以外でもLINEやSkype等のあらゆる所で応用されていて、その功績は大きい。

そんなP2Pが用いられているブロックチェーン技術をまだ殆どの日本人が知らないという現状もなかなかの事だなと思っている。
ただ、少しづつだが年々社会に露出してきており、今年「NFT」がブームになり流行語にノミネートされていた。
NFT(non-fungible token)とは非代替性でデジタル上の固有作品の価値を証明でき、誰の所有権かを証明できる技術の事。
以前から非中央集権のブロックチェーンを推している僕は当然NFTにも参加していた。
今年SorareというNFTサッカーゲームにはまっていたが、世界での利用者登録者数が60万人に対し、日本では知名度が殆どなく登録者数はまだ数パーセントの僅かな数らしい。
ゲーム内でも日本人らしきアカウントを見かける事はほぼ皆無で、ほんと日本人は良くも悪くも用心深いな~と思っていたら、今年の流行語大賞にノミネートされていたので本当に驚いた。
まあこれはゲームではなくデジタルアートの方でのノミネートだとは思うが、これからのゲームはブロックチェーンを使ったNFTゲームを多く見かけるようになってくると思う。
ただ有識者が指摘しているとおり、法規制の問題や所有権が法的に留保されていない等の大きな課題もあり、そもそも仮想通貨事態が下火になれば何の意味も持たなくなり、ただの一過性のブームで終わってしまう可能性も大いにある。
ただNFTは一過性で終わってしまう可能性はあるかもしれないが、ブロックチェーンは残り続けるどころか主流になっていくと、個人的には思っている。
メタバース(仮想空間)が取りざたされている昨今、相性がいいとされているブロックチェーンやNFT、またはDeFi(分散型金融)が今後伸びるかどうか長い目で見守っていきたいと思う。

ブロックチェーン技術の登場で、最近は通貨の概念に関する本が多く出回っていて、僕もいろんな本を読んでみたが、個人的にはデジタル通貨(CBDC)の問題は避けられないと思っている。
何年か前にも、デジタル通貨についてこのブログに書いた記憶があるが、今でも自分の考えに変わりはない。
仮想通貨はボラティリティ(価格変動の度合い)が高い為、通貨としては烙印を押される形となり、名称が「暗号資産」に変更され、株などと一緒の資産の位置付けとなった。
ただボラティリティさえ安定していれば、デジタル通貨は全世界に普及する可能性があり、世界各国の共通課題となっている。
そんな分野に早い段階から力を注ぎ、現在トップを独走している国がある。
その国とは、中華人民共和国。
中国は2022年の北京オリンピックで、そのデジタル人民元をお披露目すると言っている。
これがどういう事なのか理解している人は殆どいないと思う。
いろんな本にも書かれているが、もし現在世界の基軸通貨であるドルが、富裕層や貧困層にとっても大変便利な通貨になりうる、デジタル通貨に覇権が移るような事があればどうなるだろうか?
そしてそれがもしデジタル人民元だったとしたら。。
そういう事を突き詰めて考えてみると、少し恐ろしくなるのは僕だけだろうか。
それが10年後か30年後かそれとも何も起こらないかは分からないが、もしそうなったとしたら世界のパワーバランスは大きく変わると言われている。
中国だけではなく世界の各国もデジタル通貨の実装を急いでる中、日本はどうなのだろうか?
未だにキャッシュレス決済が出来ない店や、Suica・PayPay・LINEPay等のアプリが乱立していて統一性が全くなく、店によっては使えるアプリと使えないアプリもある。そもそもキャッシュレス自体の普及率が低く、未だに多額の現金を持ち歩いている日本人は世界に大きな後れをとっている。
頭の柔らかい若い世代の政治家がどんどん出てきて、思い切った政策でこの国を変えていってほしいと切に思う。
頑張れ日本!

途中からは脱線して、ここ数年で僕が読んだ本や実経験に基づいて、自分の考えを長々と書きましたが、あくまでも僕が感じたままを書いただけであって、間違っている事や見当違いな事も言ってるかもしれませんので、その辺りはご容赦ください。

今年もシェアブックスの出張買取や宅配買取をご利用して頂いたお客様、誠に有難うございました。
2022年も宜しくお願い致します!

1
PCサイトを表示
電話 0120-316-314(フリーダイヤル)
電話受付:年中無休 [ 10:00 - 19:00 ]
通信中です...しばらくお待ち下さい