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シェアブックス スタッフが送るたわいもない日記
森美術館でやっているアラブエクスプレス展に行って来ました。
悲しく、どこか暗い印象の作品が多かったですが、その中でも自分なりに感じるものがありました。
こういった作品は人それぞれ感じ方が違うと思いますが、僕には悲しみや絶望の中にもユーモアや希望を感じることが出来ました。
地理的には欧米よりも近いですが、普段の私生活ではほとんど触れ合うことがありません。
そんなアラブを美術品を通してですが、堪能できたのは本当に良かったです。
このアラブエクスプレス展、久しぶりに面白かったです。
遠方で見に行けない方の為に、出来るだけ詳細を記載します。

六本木ヒルズ
まずは六本木ヒルズ
入り口
アラブエクスプレス展入り口
1 
【ハリーム・アル・カリーム】
この作品は、アラブの民族衣装に身を包んだ女性が写されているように見えます。しかし、実はその衣装はアラブ的なものとして想像される架空のもので、実在しません。本作は「ハーレムの女性」という西洋美術史で繰り返し描かれてきたモチーフを援用するとともに、西洋中心主義に語られてきた歴史に懐疑のまなざしを向けています。そもそもモデルは本当に女性なのでしょうか。こちら側を覗き込むような人物の視線は、私達が先入観や思い込みで物事を見ていることを指摘するものなのかもしれません。
2 
【モアタッズ・ナスル】
多数の写真が壁一面に格子状に展示されていますが、タイトルが示すとおり、これらはすべてカイロで撮影されたものです。街角に垣間見える生活の営み、伝統と現代が交じり合う店先、路上で交流する人々などの被写体が、まるで路上を歩いているような臨場感とともに構成される本作からは、現代エジプト社会の多様な相貌を感じ取ることができます。落書きや鮮やかな色のお菓子、ぬいぐるみが写されたものもあり、カイロの日常におけるポップな一面を見ることができます。エジプトの代表的なパンであるエイシが窓の鉄格子に並べられた写真や、梱包材のようなものが束ねられいくつも重なって路上に置かれた写真もあり、作家の支店にはユーモアも感じられます。
3 
【アマール・ケナーウィ】
これは2009年末に作家がカイロで行ったパフォーマンスの記録映像です。十数人の人々が羊のように四つん這いで群れをなして街を歩いています。羊飼いの役を務めるのはケナーウィ本人です。エジプトでは貧富の差が激しく羊飼いのような身分の低い人は貧しい暮らしを強いられていることを考えると、このパフォーマンスは政治的な抗議活動のようにも解釈できます。ケナーウィはこのパフォーマンスが原因で逮捕されてしまいますが、その約1年後にはカイロ市内で民主化運動が始まります。本作は硬直化した社会と権力の理不尽さを描き、その後の社会変革の予兆を示していたのかもしれません。
4 
【リーム・アル・ガイス】
5 
『私の父が建てた家(昔むかし)』 【サーディク・クワイシュ・アル・フラージー】
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6 
【ジャアファル・ハーリディ】
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9 
『ブラック・ファウンテン』 【マハ・ムスタファ】
目の前には黒々とした液体が飛び散る噴水が見えます。黒い水が汚染された水、地中から湧き出る原油などを連想させるでしょう。1991年の湾岸戦争時、クゥエートの油田地帯が爆破され、燃え上がる炎と煙が近隣諸国に「黒い雨」を降らせました。作家はイラクをこれを実際に浴びるという衝撃的な体験をしたのです。原油は国に富をもたらすと同時に紛争の種でもあり、自然をさいなみ人々の生活を脅かす存在ともなります。「黒い雨」は、戦争、エネルギー問題、自然のメカニズム、原油をめぐる国際情勢など、様々な要因が凝縮した現象といえるでしょう。絶え間なく湧き出る黒い水は、これら諸問題がいまだ継続していることを暗示するかのようです。
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『マグネティズム』 【アハマド・マーテル】
この白黒写真は作品は、ブロック状の磁石とそれに引きつけられる無数の鉄粉が被写体ですが、世界中のイスラム教徒が一生に一度は訪れるべきメッカのカアバ神殿への巡礼風景をも思起させます。一見してそれとわかる表現方法は広告写真のようですが、求心力の強い宗教的シンボルと、鉄粉を吸い付ける磁石とを同一の構造をもつものとして示し、科学と宗教の類似点を提示しているようです。そこにはイスラム教徒であり、医者とアーティストを兼務する作家の独自の視点が感じられます。科学が発達した時代においても、我々は科学では説明できない何かを信じていますが、本作はそんな人類の本質を暗示しているのかもしれません。
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『グラディエーター』 【ミーラ・フレイズ】
この作品では舞台の幕前にいる女性の顔が仮面で覆われています。タイトルには映画名や歌手名がが付けられていますが、この少し奇妙な形の仮面は外界から身を守る盾、あるいは形を変えたヴェールなのでしょう。ヴェールは近代化の過程で女性抑圧の象徴となり、ゆえに解放運動の武器と言われることもありましたが、作家はそれをまとう週間に必ずしも否定的なのではありません。ある種の役割を強いられ、演じることを余儀なくされる社会環境に辟易としつつも、不自由さを克服する術を探しているのでしょう。「私たちは宗教ではなく人々によって作られる『役者』なのです」とフレイズは語ります。女性がより能動的に自分らしく生きることへの希求が、作品から読み取れます。
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【ターレク・アル・グセイン】
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【シャリーフ・ワーキド】
この作品では、銃を前にした男が延々と語り続けます。一見して、作戦遂行直前の自爆テロ犯による証言記録のようです。しかし実際は、語り手は有名なパレスチナ人俳優であり、犯行声明と思しきものは古典文学『干支一夜物語』で、これを延々と読み上げているだけです。私達にも馴染みのあるこの物語が、この作品ではまったく異なる響きを持って我々に迫ってきます。イスラムへの理不尽な慈怖心を世界中に植えつけたテロリズムと、イスラムの誇る伝統文学を組み合わせることにより、我々が陥りがちな物事の近視眼的な解釈や短絡的な先入観を、皮肉と滑稽さを交えて批判しているのです。
20 
【アーデル・アービディーン】
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【アクラム・ザアタリ】
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『道』 【アブドゥルナーセル・ガーレム】
この作品は1982年にサウジアラビア南西部にある山間の村で起きた、災害の犠牲者へのオマージュです。その日、豪雨による洪水発生の危機から、村人たちは完成して間もない橋の上に避難しました。しかし頑丈と思われたコンクリートの橋は無残にも村人もろとも鉄砲水に押し流されてしまいます。2003年、長年放置されたままの現場を見たガーレムは、報道もされず封印されていたこの惨事を掘り起こすべく、橋の残骸に「道」というアラビア文学を無数に書きつけるパフォーマンスを行い、映像作品としました。この惨事の傷跡を記録することにより、犠牲者にとって、また私達にとって「正しい道」とはどのようなものかと、ガーレムは正解の見えない戦いを私達に投げかけています。
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【ハリーム・アル・カリーム】
輪郭がぼやけた女性の顔が映し出されています。口をテープで塞がれていますが、眼だけは鮮明に表現されています。女性の見返すような視線は、言論の弾圧によって人間性が虐げられていたかつてのイラクの状況を、目を背けることなく直視しようとする人間の意志の表れでもあります。真実を見据えようとする女性のこのまなざしは、暴力や弾圧、権力に対する、寡黙ではあるが徹底的な抵抗といえるでしょう。彼の作品には、サッダーム・フセインの政権を逃れ、三年間イラク南部の砂漠の洞窟に身を隠していたという自身の体験や、兄が政治的な作品を公開したことによって刑務所に週間されるといった出来事が深く根ざしています。
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森タワー53階から

沈黙という木には、平和という実がなる』 by アラブのことわざ

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